16-3. 遺伝子組換え生物の使用と実験分類
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1) 遺伝子組換え生物等(LMO)の使用形態と実験の申請
遺伝子組換え実験の実施には申請と許可が必要
LMOの使用形態
第一種使用等
LMOの拡散を防止しないで行う使用等
開放系での栽培や飼育
通常の実験はこれに当てはまらない
第二種使用等
拡散を防止しつつ行う使用等
実験室内での使用や密封容器による運搬などが含まれる
法の下部に、文部科学省二種省令(拡散防止措置などを定める)と二種告示(宿主-ベクター系、実験分類などを定める)が設けられている
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memo: 遺伝子組換え生物等(LMO:living modified organisms)
異なる属の生物間の細胞融合をもとにつくられた、あるいは遺伝子組み換え技術でつくった伝達能・複製能を有する核酸をもつ生物等
2) 機関承認実験と大臣確認実験
機関承認実験
第二種使用等の実験の大部分
所属機関で審査・許可される
大臣確認実験
多様性や人体に悪影響の与える可能性のある実験や封じ込めの基準があらかじめ定められていない実験はより厳密で慎重な審査が必要
大臣確認実験となる実験のポイント
実験分類が決められていない
認定宿主-ベクター系を使用していない
増殖性のウイルス、ウイロイドである
未同定の供与核酸である
実験分類がクラス2~3
クラス4は無条件
供与核酸が哺乳動物の病原性や伝達性にかかわる
供与核酸が感染症の治療を困難にする
毒性の強いタンパク質をコードする遺伝子をもつ
独自の拡散防止措置を執っている
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3) 実験分類
実験分類
遺伝子組換え実験で宿主や核酸供与体として使用される生物の危険度の分類
拡散防止策の基準となる
ただこの分類基準は研究の進展により、文部科学省二種告示として更新されることがある
クラス1
病原性のない微生物(ウイルス含む)、キノコ、寄生虫、動物(ヒト含む)、植物
バクテリオファージ(溶原化により細菌が病原性を獲得する場合は除く)もここに含まれる
クラス2
微生物、キノコ類、寄生虫のうち、哺乳動物等に対する病原性が低いものが含まれる
クラス3
微生物、キノコ類のうち、哺乳動物等に対する病原性が高く、かつ伝播性が低いものが含まれる
クラス4
微生物のうち、哺乳動物などに対する病原性および伝播性が高い、非常に危険なウイルスが含まれる
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memo: 法令で使用される用語の意味
生物等
自然条件で増殖する生物個体、ウイルス、ウイロイド(植物に病気を起こすRNA)を生物とする
培養マウス細胞、ES細胞、プリオン、サルの精子はいずれも生物に含めず、組換えDNAを導入しても法の対象外
植物の挿し木、分化処理を施した植物カルスは生物となる
ヒトは生物に含まれない
宿主とベクター
宿主
組換え核酸が移入される生物
ベクター
組換え核酸のうち移入された宿主内で当該組換え核酸の全部または一部を複製させるもの
認定宿主-ベクター系
特殊な培養条件以外では生存率の低い宿主とベクターの組み合わせ(生物学的封じ込め)
大腸菌のEK1系など約10種あり、第二種使用等の基準となる
認定されたものでないと使用基準が厳しくなる
供与核酸と核酸供与体
供与核酸
移入される組換え核酸のうち、ベクター以外のもの
核酸供与体
供与核酸が由来する生物(ただしヒトを含む)
同定済み核酸
核酸やタンパク質の機能が科学的に推定できる核酸
あるいは自然条件で宿主との間でその核酸が交換(自然組換えや交配)できる核酸
使用制限を緩和できる
memo: 法に規制されない遺伝子組換え実験
同種生物由来核酸のみを用いて行うDNA組換え実験(セルフクローニング)
自然に生じた(ナチュラルオカーレンス)組換え体の使用
交配など従来用いられている技術でつくられた遺伝子が組換わった生物の使用